あなたがアメリカの市民、永住者、または税務上の居住者の場合、連邦所得税の対象となります。また、所得税が課税されない州もありますが、ほとんどの州では州所得税の対象となります。ただし、全員がタックスリターンをする必要はありません。所得額、申告ステータス、ビザの種類などで申告の内容が変わってきますので注意が必要です。

以下に、より具体的な説明をします。

  • 連邦所得税:アメリカの市民、永住者、または税務上の居住者の場合、連邦所得税の対象となります。連邦所得税は、アメリカの連邦政府が徴収する税金です。連邦所得税の税率は、所得額に応じて異なります。
  • 州所得税:アメリカのほとんどの州では、州所得税が課税されます。州所得税の税率は、州によって異なります。
  • タックスリターン:アメリカでは、個人で確定申告をする必要があります。確定申告とは、1年間に得た所得と支出した費用を計算し、税金を納める手続きです。正しく確定申告をしないと、税務署から追徴課税される可能性があります。

アメリカの税制は、連邦所得税、州所得税、地方税、ビザステータスなど、非常に複雑なものです。そのため、確定申告をご自身で行うのは難しい場合があります。正確に申告するためにも税理士に相談することをお勧めします。税理士に依頼すると、確定申告をスムーズに行うことができ、税金の節約にもつながります。

また、事前にあなたの所得や支出を把握しておくと、より効率的に相談を進めることができます。税理士費用は、所得や申告内容によって異なります。詳しくは、お気軽にどうぞお問い合わせください。

米国連邦確定申告

アメリカでは個人の連邦確定申告書は、Internal Revenue Service (IRS)へ提出します。
確定申告を行うことで、毎年1月から12月までの所得、所得控除額、税額控除などを申告し、最終所得税額を決定します。源泉徴収された所得税額、予定納税を行なった所得税額が、最終所得税額よりも多い場合は、払い過ぎた所得税の還付を受けることができます。

申告フォーム

当事務所の連邦確定申告サービスは、以下を含むすべての関連フォームを提供します。


主要フォーム

  • Form 1040(アメリカ市民、永住者、居住者の申告書の主要フォーム)
  • Form 1040NR(非居住者の申告書の主要フォーム)
  • Form 1040X(修正申告書)

付随するスケジュール

  • Schedule A(項目別に所得税控除をすることができます)
  • Schedule B(利息または配当所得を報告するために使用します)
  • Schedule C(自営業からの利益または損失を報告するために使用します)
  • Schedule D(キャピタルゲインを報告するために使用します)
  • Schedule E(賃貸物件からの利益または損失を報告するために使用します)
  • Schedule K-1 (Sコーポレーション、パートナーシップなどからの収入、損失、または配当を報告するために使用します)

その他フォーム

  • Form 1116(外国税額控除を請求するために使用します)
  • Form 2555(外国所得を控除するために使用します)
  • Form 2441(扶養者の養育費を税額控除するために使用します)
  • Form 8833(日米租税条約を適用するために使用します)
  • Form 8843(F1、J1ビザの学生、研修生が非居住者のステータスを申請するために使用します)
  • Form 8854(市民、永住権を放棄する際に使用します)
  • Form 8863(学費を税額控除するために使用します)
  • Form 8917(学費を所得控除するために使用します)

申告義務

税務上、米国居住者(市民、永住者、滞在テストを満たした外国人就労者)は、年間に下記の総所得を超える場合は確定申告が必要となります。個人事業主の場合は年間の利益が$400超えた場合は、Self-Employment Tax(個人事業用の社会保障税)の対象となり申告が必要となります。
また、アメリカ市民、永住者はアメリカ以外の国に住んでいても、全世界の所得をIRSへ申告する必要があります。


表:2023年度確定申告

申告ステータス総所得
独身者$13,850
夫婦合算$27,700
夫婦別$5
特定世帯主$20,800
特定未亡人$27,700

滞在テストを満たさない米国非居住者は、基本的にはアメリカで発生した所得のみアメリカで課税対象となり、申告が必要となります。ただし、日米租税条約を適用することにより、所得の種類によっては税金が軽減します。また、ビザの種類によっては免税措置が適用される場合があります。税金の軽減や免税の請求をする場合は、確定申告の必要があります。

居住者/非居住者、ビザの種類、租税条約についての詳細はお問い合わせください。

申告日

通常、個人のアメリカ確定申告締切日は毎年4月15日になります。

もし申告が間に合わない場合はForm 4868, Application for Automatic Extension of Time To File U.S. Individual Income Tax Return を提出すると、申告日を6ヶ月間延長することができます。延長締め切り日は、10月15日となります。

ただし、確定申告の延長申請をしても納税支払い期限が10月15日まで延長されるわけではありません。連邦所得税の支払いが必要な納税者は、利子や罰金を避けるために4月15日までに納税手続きを行なってください。

アメリカ市民、税務上居住者となる方(グリーンカードホルダー)で、アメリカ国外に住んでいる場合は、6月15日が申告締め切り日となります。ただし所得税の支払いがある場合は、4月15日が支払い日となります。支払いが遅れた場合は、利子が発生しますので注意してください。


米国州確定申告

アメリカでは連邦所得税だけではなく、居住している州や地方自治体でも所得税が課税されます。ただし、全ての州で課税されるわけではありません。所得税がない州もありますので、注意が必要です。

連邦所得税と同じく、払い過ぎた源泉所得税があれば、確定申告をすることで還付されます。

申告義務

ほとんどの州では、州が規定する所得額を超えている場合のみ確定申告の必要があります。 この金額は州ごとに異なり、申告ステータスによっても異なります。


ただし、下記の7州に居住または勤務している場合は、所得税が課税されません。

  • アラスカ
  • フロリダ
  • ネバダ
  • サウスダコタ
  • テネシー
  • テキサス
  • ワイオミング

ニューハンプシャーとワシントンの2州では、勤労所得には課税されません。ニューハンプシャー州は、利子と配当所得のみ課税対象となります。ワシントン州は、規定額を超えたキャピタルゲインのみ課税対象となります。


勤務している州と居住している州が違う場合

ほとんどの州の間では協定が結ばれており、2重で課税されることはなく、勤務している州では課税が免除されます。例えば、ペンシルバニア州に住んでいるが、オハイオ州で働いている納税者は、居住しているペンシルバニア州のみで所得税を支払います。勤務している州の雇用主に、源泉徴収免除申請書を提出することで免税措置が適用されます。忘れずに手続きしてください。

協定が結ばれていない州(例:ニューヨークとニュージャージー)では、勤務している州で支払った州所得税は、居住している州で税額控除として扱うことができます。

年の途中で違う州へ引越しをした場合

引越し前に居住していた州と引越し後の州で得た所得に対して、各々の州へ確定申告をする必要があります。それぞれ居住していた日数と所得額をしっかり把握しておいてください。

申告日

ほとんどの州は、連邦の申告日と同じく、毎年4月15日が申告締切日です。

大災害などが起きた州では、申告締切日が延びることがありますのでご注意ください。

地方自治体の申告

17の州とコロンビア特別区では、州の所得税に加えて、郡、市町村が独自の所得税を課しています。多くの地方自治体では、税率は連邦または州レベルよりも低くなっています。
該当の郡、市町村に居住の場合は、確定申告が必要となります。

FBAR

FBAR(Foreign Bank and Financial Accounts)は、Bank Secrecy Act(銀行秘密法)の下、外国金融機関で資産を隠蔽したり、マネーロンダリングを防ぐために、納税者は毎年、アメリカ財務省(Department of the Treasury)へ外国資産を開示しなくてはいけません。この報告書はIRSではなく、アメリカ財務省へ申告します。

申告義務

アメリカ市民、永住者、税務上居住者、コーポレーション、パートナーシップ、LLC、エステート、トラストで、下記1、2両方に該当する場合は、FBAR申告該当者となります。対象金融機関口座は、外国金融口座(アメリカ銀行の外国支店口座含む)、株式口座、投資信託口座、生命保険口座が対象となります。

夫婦の場合、配偶者がアメリカ市民や居住者で、もう一方の配偶者が非居住者の場合は、アメリカ市民と居住者はFBAR申告対象となりますが、非居住者の配偶者は申告対象外となります。

  1. 米国外に1つ以上の金融口座の所有権、または口座の署名権限がある。
  2. 1月から12月の間で全てのアメリカ以外の金融口座の資産合計が10,000ドル超えた場合。

例:外国金融資産口座を2つ持っていて、1つの残高が4,000ドル、もう1つの残高が7,000ドルの場合は合計10,000ドルを超えますので、両方の口座情報を申告する必要があります。

必要情報

  • 口座所有者名
  • 口座番号
  • 口座の種類(普通、定期など)
  • 金融機関名と住所
  • 年間最高残高額

罰金

故意はでなく、申請を怠った場合の罰金は、最大で12,921ドルとなります。

故意に申請を怠った場合は、 129,210ドル、または米国外金融資産額の50%のどちらか多い方となります。

申告日

FBARの申告日は、一般の確定申告日と同じく4月15日となり、1年に1回の申告となります。もし申告日に間に合わなかった場合は6ヶ月間の自動延長が認められ、申告日は10月15日となります。延長申請手続きは必要ありません。

FATCA

FATCA (Foreign Account Tax Compliance Act) は、外国資産隠蔽による脱税を防ぐため、外国金融資産情報を申告するための法律です。Form 8938という申告書をアメリカ財務省とIRSへ提出します。申請を怠った場合は罰金が発生します。

申告義務

アメリカの納税者(市民、永住者、居住者、および特定の非居住者)で、下記の規定の外国金融資産額を満たしている場合は申告の必要があります。

  1. 米国居住の納税者


米国居住の納税者
課税年度最終日年間
独身の納税者50,000ドル75,000ドル
夫婦合算の納税者100,000ドル150,000ドル
夫婦別の納税者50,000ドル75,000ドル
  • 独身の納税者の場合、特定の外国金融資産の総額が、課税年度の最終日に50,000ドルを超えているか、年間を通じて一度でも75,000ドルを超えた場合は申告対象となります。
  • 夫婦合算申告をする納税者の場合、特定の外国金融資産の総額が、課税年度の最終日に10万ドルを超えているか、年間を通じて一度でも15万ドルを超えた場合は申告対象となります。
  • 夫婦別申告をする納税者の場合、特定の外国金融資産の総額が、課税年度の最終日に50,000ドルを超えているか、年間を通じて一度でも75,000ドルを超えた場合は申告対象となります。
  1. 外国に居住している納税者の場合


外国に居住している納税者の場合
課税年度最終日年間
夫婦合算の納税者400,000ドル600,000ドル
夫婦合算以外の納税者200,000ドル300,000ドル
  • 夫婦合算申告をする納税者の場合、特定の外国金融資産の総額が、課税年度の最終日に40万ドルを超えているか、年間を通じて一度でも60万ドルを超えた場合は申告対象となります。1人の配偶者のみが外国に居住している場合でも適用されます。夫婦全ての金融資産をForm8938に記載し提出します。
  • 夫婦合算申告をしない納税者は、外国金融資産の総額が課税年度の最終日に20万ドルを超えているか、年間を通じて一度でも30万ドルを超えた場合は申告対象となります。


FBARと混同しないように注意してください。FBARを申請すれば、FATCAは申請しなくても良いというわけではありません。FATCAの申請が必要な場合は、FBARも申請する必要があります。また、申請先が異なり、FBARは財務省へ、FATCAはIRSへ申請します。
もし連邦所得税確定申告が不要な場合は、仮にFATCAに該当していてもForm8938の提出は不要となります。

罰金

申告日を過ぎて申請した場合の罰金は10,000ドルとなります。また支払いが30日遅れるごとに、罰金額が最大50,000ドルまで上がります。

申告日

所得税申告書Form1040と同じく4月15日が申告日で、Form1040と一緒に申請します。

延長した場合は10月15日が期限となります。