世界一のマーケットを誇るアメリカで

ビジネスを始めたい起業家の皆様へ

会社設立についてお悩みはありませんか?

  • アメリカにはどのような法人の種類があるか?
  • どの州で設立すべきか?
  • 法人設立の流れは?
  • ビジネスする上でライセンスは必要か?
  • ビザを持っていなくても法人設立できるのか?

最新の統計では、アメリカには3,250万の中小企業があり、これはアメリカの全企業の99.9%を占めています。新しくビジネスを始めることは、ライバルも多く決して簡単なことではありません。ですから、最初は不安に感じるかもしれません。ただし、ビジネスを始めるためのプロセスを、ステップ別に分解し達成していくことで、起業家という長い旅の大きな一歩を踏み出していくことができます。

当事務所は、夢に向かう起業家を全力で応援します。

法人設立の流れ

新しくビジネスを始める瞬間は、とても心が踊るものです。ただし、そのプロセスに精通していないと、ストレスを感じるシーンがあるかもしれません。当事務所では、安心してビジネスに取り組んで頂けるよう、一連の法人設立業務サービスを提供しています。

STEP 1:法人の形態を決定する
アメリカの法人には様々な種類の形態があり、それぞれ税務作業の進め方が異なります。また法人を所有する個人の資産を守るためなどに、慎重に形態を決定する必要があります。
STEP 2:ビジネスを始める場所を決定する
税務やビジネスに対する規制が場所によって異なります。 どの州、郡、市でビジネスを始めるか戦略的に決定する必要があります。州、地方自治体によってはビジネスを行うための許可証の登録が必要になります。
STEP3:法人の名前を決定する
州に登記する法人名を決定します。また、法人名と異なる屋号を持つ場合は、州、郡、市へ登録する必要がある場合があります。
STEP4:法人の登記をする
州に法人の登記をします。特に屋号を持たない個人事業主は、どこにも登録する必要はありません。
STEP5:連邦と州の法人納税者番号を取得する
法人税を支払うために、連邦と州の雇用主納税者番号を取得する。連邦は、Employer Identification Number (EIN) を取得し、納税します。
STEP6:ビジネスライセンスを取得する
州、地方自治体ではレストランや小売業など業種によって、ビジネスライセンスを取得する必要があります。ライセンスには期限があり、ビジネスを継続して行う場合は更新する必要があります。ビジネスを始める前に、その場所ではライセンスが必要かどうか事前に確認してください。
STEP7:銀行口座を開設する
事業の収益と費用が発生したら、入金と支払のための法人銀行口座を開設してください。Employer Identification Number (EIN) を取得後、銀行口座は開設できます。

アメリカ法人の種類

アメリカの法人は、連邦レベルではなく州レベルで管理されているため、会社の登記は各州へ行う必要があります。

特定の事業体においては、非アメリカ市民は、アメリカ法人事業の所有者になることを制限されています。 米国の税法では、非アメリカ市民はLLCのメンバー、およびCコーポレーションの株式を所有できますが、Sコーポレーションの株式を所有することはできません。

従って、非居住者の日本人がアメリカ法人を設立する場合は、CコーポレーションとLLCのどちらかになります。

個人事業(Sole Proprietorship)

個人事業は最も一般的な事業体になります。

  • 個人事業は、法律上は法人ではなく、所有者と事業は一体であるとみなされます。
  • 事業の収益と費用は、Form Schedule C(事業収支報告書)を使用して、個人の確定申告書(Form 1040)と一緒に申請します。
  • 所有者は事業に対して無限責任を負います。事業の債権者に対して負債総額の全額を支払う責任を負うことを指します。すべての債権を払いきれない場合は、無限責任を負う個人事業者は個人の財産をもち出してでも弁済しなければなりません。
  • 個人事業を開始するにあたり規定の書類を提出する必要はなく簡単に開始できます。
  • 事業自体の譲渡はできません。

コーポレーション(C corporation)

コーポレーションの所有者は、設立時に有限責任が認められおり、所有者の個人資産は債権者から守られています。債務返済については債権者はコーポレーションの資産のみ債務返済の基準として判断します。

  • 一般的なコーポレーションの種類は、C corporationと呼ばれます。
  • コーポレーションのデメリットは、二重課税があげられます。最初にコーポレーションが出した利益に対して課税され、2回目がその利益から株主へ配当したときの配当金に課税されます。
  • コーポレーションの確定申告は、所有者個人の確定申告とは別に行います。法人の会計年度末から数えて4か月と15日目が申請日となります。(例:会計年度がカレンダーイヤーの場合は4月15日が申請日となります。)

Sコーポレーション(S corporation

Sコーポレーションは特別な事業体で、1958年に最初に認められた法人となります。

  • Sコーポレーションのメリットは、IRSに直接税金を支払う必要がないことです。 代わりに、所有者に対して会社の利益のシェアを報告するSchedule K-1を提出し、所有者が個人として確定申告を完了させます。
  • 更に、Sコーポレーションは、コーポレーションと同様に所有者に対して有限責任が認められています。
  • デメリットは、法人、アメリカ非居住者は、Sコーポレーションの株主になることができないというデメリットもあります。また株主の最大人数は100人までと規定されています。
  • アメリカの会社の半分以上はSコーポレーションとして運営されています。一般的に、株主が少ない中小企業として事業運営をする会社が多く、半分以上の会社の所有者は1人です。
  • Sコーポレーションの確定申告は、会計年度末から数えて3ヶ月と15日目が申請日となります。Sコーポレーションの会計年度は基本的にカレンダイヤー(12月決算)と規定されています。

パートナーシップ(Partnership

パートナーシップにはいくつかの種類があります。

ジェネラルパートナーシップ(General Partnership)

  • メリットは、パートナーシップ自体に課税されることがなく、IRSに直接税金を支払うこともありません。 代わりに、所有者が会社の利益のシェアを報告するSchedule K-1を受け取り、個人として確定申告を完了させます。
  • デメリットは、パートナーシップに債務支払能力がない場合は、所有者が債務責任を負うことです。
  • 確定申告は、会計年度末から数えて3ヶ月と15日目が申請日となります。

リミテッドパートナーシップ(Limited Partnerships)

  • メリットは、パートナーシップ自体に課税されることがなく、IRSに直接税金を支払うこともありません。 代わりに、所有者が会社の利益のシェアを報告するSchedule K-1を受け取り、個人として確定申告を完了させます。
  • 更に、有限責任が認められおり、所有者の資産は債権者から守られています。
  • デメリットは、パートナーは事業運営に直接参加することはできないことです。

リミテッドライアビリティーパートナーシップ(Limited Liability Partnership)

  • リミテッドパートナーシップと似た性質があります。主に士業(建築、コンサルタント、エンジニア、法律などのサービス)を行っている事業者が選択します。
  • ただし、いくつかの州は債務責任を所有者が負うことを要求しています。

有限責任会社(Limited Liability Company , LLC)

LLCの所有者は、税務上それぞれメンバーと呼ばれます。 メンバーが1人の場合は、メンバーと事業が切り離され、会社とはみなされません。連邦税務上、2人以上のメンバーがいる場合は、パートナーシップとみなされます。

  • LLCのメリットは、コーポレーションの有限責任に加え、ジェネラルパートナーシップの税務メリット(LLC自体に課税されることはない)を兼ね備えた非法人のハイブリット事業体と言えます。
  • LLCは、アメリカ国内の事業体になりますがコーポレーションとして分類されず、パートナーシップとして分類されます。(2人以上のメンバーがいた場合)
  • LLCは、パススルー課税形態が適用されLLC自体に課税されることなく、IRSに直接税金を支払うこともありません。それぞれのメンバーが個人の確定申告でLLCの利益に課税されるというメリットがあり、パートナーシップのように柔軟に運営できます。メンバーの数に制限はなく、全てのメンバーが運営に参加できます。個人、会社、外国人がLLCのメンバーになることもできます。

シングルメンバー有限責任会社(Single-Member Limited Liability Companies)

メンバーが、1人だけのLLCは「single-member LLC」と呼ばれます。

  • single-member LLCは、基本的に事業体としてみなされません。
  • single-member LLCの事業の収益と費用は、Form Schedule C(事業収支報告書)を使用して、個人の確定申告書(Form 1040)と一緒に申請します。賃貸収益と費用はForm Schedule E(賃貸収支報告書)を使用します。

州の選択

アメリカでは、50州またはワシントンDCのいずれかで会社を設立できます。 どの州を選択するかは、会社を設立する理由によって異なります。 一部のアメリカの州、特にデラウェア州、ネバダ州、ワイオミング州は、他の州よりも「ビジネスフレンドリー」だと言われています。

法人税

法人税は、アメリカの連邦、ほとんどの州、および一部の地方レベルで、事業体の所得に課せられます。 2018年1月1日以降、2017年税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act)の成立により、アメリカの連邦法人税率は、一律21%になっています。ただし、州および地方の法人税は、州によって異なります。

アメリカの44州では、ノースカロライナ州の2.5%から、アイオワ州の12%まで、州の法人税を課しています。 ネバダ州、オハイオ州、テキサス州、ワシントン州の4つの州では、法人税ではなく、売上税(gross receipts tax)を課しています。

一方、デラウェア州、ペンシルベニア州、バージニア州、ウェストバージニア州では、法人税に加えて売上税を課しています。 サウスダコタ州とワイオミング州は、法人所得税または売上税を課さない唯一の州です。更に、サウスダコタ州とワイオミング州は、州の個人所得税もありません。

税制面から考えるとサウスダコタ州とワイオミング州がお得ということになります。

Gross receipts taxとは?

Gross receipts taxは、会社の事業費、売上原価、人件費などを控除せず、会社の総売上に適用される税です。 消費税とは異なり、Gross receipts taxは法人に課せられます。

選択肢

  1. 大多数の中小企業にとっては、現在居住していて事業を行う州に会社を設立することが、通常、最も簡単で安価なオプションです。
  2. 事業者がアメリカの居住者でなく、会社がアメリカに物理的に存在せず、海外からのみ運営される場合、他の州よりも「ビジネスフレンドリー」な、デラウェア州、ネバダ州、ワイオミング州に会社またはLLCを設立することが望ましい場合があります。

デラウェア州、ネバダ州、ワイオミング州に会社を設立した場合の、長所と短所について確認してください。

デラウェア州

長所

  • 会社の株主、取締役、役員、またはLLCのメンバーやマネージャーは、デラウェア州の居住者である必要はありません。
  • デラウェア州で事業を行っていない場合、州の法人所得税が適用されない場合があります。
  • デラウェア州は、ほとんどの大企業(Fortune 500、Nasdaqなど)が登記されている州です。
  • デラウェア州は、陪審員ではなく裁判官によって運営される迅速な法制度を運営しています。 従って、裁判所に上訴すると、会社法の経験豊富な裁判官が、最短時間で訴訟を処理することになります。
  • デラウェア州に登記する場合、州に取締役および役員の名前を開示する必要はありません。 これにより匿名性が守られます。

短所

  • 中小企業やスタートアップを運営する場合、デラウェア州は理想的ではないかもしれません。 税制上の優遇措置を考慮した法律は、大企業向けに作成されています。
  • デラウェアの登記手数料は、他の州よりも大幅に高くなっています。
  • 別の州で事業を行う場合でも、会社は年次報告書の提供を含め、その州の事業およびライセンス要件を満たす必要があります。

ネバダ州

長所

  • 会社の株主、取締役、役員、またはLLCのメンバーやマネージャーは、ネバダ州の居住者である必要はありません。
  • 個人と法人の所得税はありません。またFranchise Tax(特別事業税)もありません。
  • ネバダ州に登記した場合、州に取締役および役員の名前を開示する必要はありません。 これにより匿名性が守られます。

短所

  • 総売上が400万ドルを超える場合は、売上税(gross receipts tax)が課せられます。
  • ネバダ州での会社設立の費用は、他の州よりも比較的高くなっています。

ワイオミング州

長所

  • 会社の株主、取締役、役員、またはLLCのメンバーやマネージャーは、ワイオミング州の居住者である必要はありません。
  • 個人と法人の所得税はありません。またFranchise Tax(特別事業税)もありません。
  • 会社設立の費用は、他の州よりも比較的安くなっています。
  • ワイオミング州に登記した場合、州に取締役および役員の名前を開示する必要はありません。 これにより匿名性が守られます。

短所

  • ワイオミング州は、アメリカの州の中で最も人口が少ないため、大都市を好む方には魅力がないかもしれません。

EINとは

EIN(Employer Identification Number、雇用主納税者番号)は、IRSのウェブサイト、またはForm SS-4に記入し、郵送かFaxで申請することができます。EINは、9桁の数字(XX-XXXXXXX)で構成されています。EINなしで事業を運営することはできませんので、必ず申請する必要があります。

EINを取得すると、下記のように業務の幅が広がります。

  • 従業員を雇い、給料を支払うことができます。
  • 法人確定申告時、EINが必要になります。
  • 雇用者税、消費税、アルコール税、タバコ税などの申告時にEINが必要となります。
  • 法人銀行口座開設時に、EINが必要になります。

EINの申請には、名前、住所等の基本情報に加え、Social Security Number(SSN)、または Individual Taxpayer Identification Number(ITIN)が必要になります。アメリカに居住していない事業者は、ITINを申請する必要があります。当事務所ではITIN申請サービスも提供しています。ITINの詳細についてはこちらをご確認ください。

ビジネスライセンスとは

ビジネスを行うためには、ビジネスの種類によって、連邦、州、および地方自治体にビジネスライセンスを申請する必要があります。

当事務所では、主にレストラン業、小売業に関するビジネスライセンスのサポートを提供しています。その他のライセンスについても、お問い合わせ頂ければご相談に乗ります。

連邦政府

ほとんどの会社には、連邦政府のビジネスライセンスが必要ありません。 ただし、下記の活動に従事している場合は、担当の連邦政府機関に連絡して、ビジネスを行うためのライセンスを取得する必要があります。

  • 農業、畜産、漁業
  • 肉製品、医薬製品の製造、販売の準備
  • ラジオ、テレビ放送
  • 陸上、海上運送
  • アルコール、タバコ、または銃器の製造、販売

州と地方自治体

州と地方自治体で必要なライセンスは、ビジネスの活動内容と場所によって異なります。ライセンス料も異なります。

州は、連邦政府よりも幅広い活動に対して規制を掛ける傾向があります。 例えば、地域で一般的に規制されているビジネス活動には、オークション、建設、ドライクリーニング、農業、配管、レストラン、小売、自動販売機などがあります。

レストラン、小売業には欠かせない最も重要な3つのライセンスを紹介します。

DBA登録

DBA(doing business as)、またはfictitious nameとは、日本語で屋号を表し、個人名と法人名以外の名前をレストランや小売業に使用する場合は、適切な書類を州または地方自治体に提出する必要があります。

DBAを登録する目的は、特定の個人または会社が正式な名前以外の屋号で事業を行っていることを一般に通知することです。 消費者を保護するために、異なる名前でビジネスを行う場合は、一般の人々にDBAを知らせるが必要があります。

セラーズパミット

セラーズパミット(seller's permit)とは、販売許可証を意味します。ビジネスを開始したり、商品の販売を開始したりする場合に必要となります。セラーズパミットは、商品の販売、サービスの提供、消費税の徴収を行うために州へ申請します。州が事業者の消費税の徴収、報告、および支払いプロセスを管理するためです。

リセールサーティフィケート

リセールサーティフィケート(resale certificate)とは、再販売許可証を意味します。リセールサーティフィケートの取得目的は、レストランや小売業を行うために卸業者から食材や商品を仕入れる際に、地方の消費税を支払うことなく、購入できるようにすることです。従って、事業者が卸した商品を販売した際、顧客から消費税を徴収するのは事業者の責任となります。食材や商品を仕入れる際は、再販売するためにその商品を購入したことを証明するために、卸売業者にリセールサーティフィケートを提示する必要があります。