アメリカの予定納税の仕組みは?予定納税で納税額を減らそう!

あなたが支払うべき税金は、源泉徴収または予定納税( Estimated Tax )により、その年の収入に応じて支払う必要があります。 給与や年金から源泉徴収された所得税の額が足りない場合、または利子、配当、キャピタルゲイン、慰謝料、暗号通貨、自営業収入、賃貸収入、賞金など、源泉徴収の対象とならない収入を受け取った場合は、予定納税を支払う必要があります。 もし、あなたが個人で事業を行っている場合は、通常、予定納税を支払う必要があります。 予定納税は所得税だけでなく、自営業税(Self-Employment Tax )の納税にも適用されます。

源泉徴収や予定納税で十分な税金を支払っていない場合、罰金が課される場合があります。 また、確定申告書を提出する際に税金の還付金が発生している場合でも、予定納税が遅れた場合は罰金が発生する可能性がありますので注意しましょう。

予定納税のメリットは、以下のとおりです。

  • 税金の支払いを分散できる
  • 納税額を減らすことができる
  • 税金の滞納を防ぐことができる
  • 税金の申告を楽にできる
  • 税金の知識を身につけることができる

予定納税について詳しく知りたい方は、ぜひ記事をご覧ください。

予定納税が必要な人

アメリカでは、個人および企業は、特定の基準を満たしている場合、予定納税を支払う必要があります。IRSは、次のような場合には四半期ごとに予定納税を支払う必要があると述べています。

  • 自営業者: 自営業者で、年間少なくとも 1,000 ドルの税金の支払いが見込まれる場合、通常、予定納税を支払う必要があります。 フリーランサー、独立請負業者、ビジネスオーナーなどが含まれます。
  • 多額の追加収入がある個人: 賃貸収入、投資収入、慰謝料など、本業以外からの収入があり、少なくとも 1,000 ドルの税金を支払う見込みがある場合、予定納税を支払う必要があります。
  • 源泉徴収が不十分な給与所得者: あなたが従業員で、納税義務をカバーするのに十分な税金を給与から源泉徴収されていない場合は、罰則を回避するために予定納税の支払いが必要になる場合があります。
  • C法人およびS法人:  一般的に、C法人およびS法人は、年間500ドル以上の税金を支払うことが予想される場合、予定納税を支払う必要があります。
  • パートナーシップおよび LLC: 税務上パートナーシップとして扱われるパートナーシップおよび有限責任会社 (LLC) は、通常、事業体レベルで所得税を支払いません。 代わりに、パートナーまたはメンバーは、パートナーシップまたは LLC の収入の自分の取り分に対して税金を支払う責任があり、予定納税の支払いが必要になる場合があります。
  • S法人の株主: 税務上、S 法人の株主は、パートナーシップのパートナーと同様に扱われます。 従って、S 法人の株主は、法人の収入の分配割合を考慮して予定納税の支払いが必要になる場合があります。

予定納税の計算方法

ほとんどの場合、以下の両方に該当する場合、その課税年度ために予定納税を支払う必要があります。

  1. 課税年度に源泉徴収および返金可能なクレジットを差し引いた後、少なくとも 1,000 ドルの税金を支払う予定がある。
  2. 源泉徴収と予想される返金可能なクレジットの合計額が、次の a. または b. のどちらか少ない方より下回っている場合。

    a. 課税年度の確定申告書に記載される税金の 90%、または
    b. 前年度の確定申告書に記載されている税金の 100%。

高所得の納税者は、調整後収入 (AGI) が 夫婦合算申請で150,000 ドル (独身者は75,000 ドル) を超えた場合、上記(b) の 100% は 110% に置き換えられます。

以下は、簡単な例になります。

  • 2023年の税金で1,000ドル以上を支払うことが予想されています。
  • 2023年の源泉徴収と税額クレジット控除は10,000ドルです。
  • 2023年の税金総額は9,500ドルになる予定です。
  • 2022年の確定申告で支払うべき税金は11,000ドルでした。

この場合、条件1は満たされています。理由は、2023年の税金で1,000ドル以上支払う予定があるためです。また、予想される税金が9,500ドルで、これは2022年の税金11,000ドルよりも小さいため、条件2にはこの数字が使用されます。そして、源泉徴収と税額控除の予定総額である10,000ドルが9,500ドルの90%(8,550ドル)未満ではないため、このシナリオの納税者は予定納税を支払う必要はありません。

次に、上記と全て同じ条件の場合、2023年の税金総額が20,000ドルであるとき、その90%は18,000ドルになります。これは予想される源泉徴収額の10,000ドルよりも大きいです。この場合、2 つを比較し、小さい方の数値を採用します。予想される源泉徴収額の10,000ドルが2022年の税金11,000ドルよりも下回っているため、納税者は予定納税を支払う必要があります。

Form 1040-ESとは?

四半期ごとの所得税の支払いを報告するには、IRSのForm 1040-ES (ES はEstimated tax) を使用する必要があります。この予定納税フォームはForm 1040の確定申告書 と同時に使用されます。Form 1040 はその年の所得税を報告するのに対し、Form 1040-ES は税金を四半期ごとに分割して支払うために使用します。Form 1040-ES を使用すると、その年に支払う予定納税額を簡単に計算できます。

雇用主によって給与から源泉徴収されていない場合、連邦税、州税、社会保障税を含む正しい金額の税金を確実に支払うためにこのフォームが必要になります。

Form 1040-ES の使用方法は、IRS の Web サイトから印刷可能な Form 1040-ES をダウンロードして手動で記入するか、IRS の Web サイトでフォームにデジタルで直接記入する必要があります。推定収入と支出の計算と入力には、予定納税ワークシートも必ず使用してください。

Form 1040 の提出とは異なり、実際の Form 1040-ES を提出する必要はありません。代わりに、電子連邦納税システム (EFTPS) を使用して、IRS の Web サイトからオンラインで Form 1040-ES 予定納税 を支払うことができます。IRS に予定納税を支払う際は小切手やマネーオーダーを直接郵送することもできますが、なるべく電子でお支払いしていただくことをお勧めします。

予定納税の支払日

予定納税は通常、四半期ごとに支払います。 第 1 四半期は、カレンダーの最初の3ヶ月間 (1月1日から 3月31 日まで) です。 2 回目の「四半期」の長さはわずか 2ヶ月間 (4月1日から5月31日まで) です。 3 回目は次の 3ヶ月間 (6月1日から8月31日まで)、4 回目は年の最後の 4ヶ月間 (9月1日から12月31日まで)をカバーします。

これらの分割払いは通常、課税年度の 4月15日、6月15日、9月15日と翌年1月15日が支払い期限となります。

予定納税の支払いを忘れた場合はどうなる?

源泉徴収または四半期ごとの予定納税により、年間を通じて十分な税金を支払わなかった場合は、予定納税の過少納付に対するペナルティ(利息と罰金)を支払わなければならない可能性があります。 IRSは最初にあなたが支払うべき税金の約 5% を徴収することもあります。 四半期ごとの予定納税を支払わない月が経過するごとに、その割合はさらに増加します。IRSがあなたに課す可能性のあるペナルティの上限は 25% です。

予定納税の支払いを忘れた場合、状況を悪化させないためにできることは次のとおりです。

  • 未払いの金額をできるだけ早く支払います。支払わなかった四半期の金額を計算し、IRS に予定納税をお支払いしてください。 可能性のある違約金や利息を最小限に抑えるために、間違いに気づいたらすぐに支払うことが重要です。
  • 前回の予定納税の支払いを忘れた場合は、現在の納税状況を確認し、次の四半期に追加支払いを行うことをお勧めします。 これにより、さらなる過少支払いを防ぎ、罰金を軽減することができます。

一般的に、罰金や利息を最小限に抑えるためには、予定されている税金をできるだけ早く支払う方が一番の解決策であることを覚えておいてください。 罰則が適用される可能性はありますが、迅速な行動を取ることは納税義務を履行する意欲を示す事になり、IRSに対して良い印象を与える事になります。

予定納税の支払い方法

IRS へ予定納税を支払う方法は下記の通りです。

  • IRS オンラインアカウント
  • IRS2Go アプリ
  • IRS ダイレクトペイ
  • 米国財務省の連邦電子納税システム(EFTPS)
  • デビットまたはクレジットカード (追加料金が適用されます。)

支払い伝票を使用して IRSへ Form 1040-ES で予定納税を郵送することもできますが、IRS は納税者に電子での支払いを強く推奨しています。

従業員として働いている人は?

あなたが企業の従業員として給与や賃金を受け取っている場合は、あなたの収入からさらに多くの税金を源泉徴収するように雇用主へ依頼することで、予定納税の支払いを避けることができます。 これを行うには、新しいForm W-4 を雇用主に提出します。 Form W-4 には、雇用主に源泉徴収してもらいたい追加金額を入力するための項目があります。

給与を受け取った場合、源泉徴収見積りツールを使用すると、給与から適切な金額が源泉徴収されているかどうかを確認できます。Form W-4の記入方法については下記のリンクから確認できます。

Form W-4の情報は必要に応じて何度でも更新できます。通常、結婚や出産などの生活の変化や、家の購入、給与が上がった場合など、経済状況の変化があった場合、新しいW-4を記入する必要があります。 生活や経済状況が変わらない場合でも、源泉徴収額を定期的に確認することをお勧めします。

まとめ

所得がある米国納税者は、一年に一度必ず確定申告書を作成して最終納税額を決定します。4月の確定申告時期が終わった後、翌年4月の申告時期に備えて一度ご自身の源泉徴収額と予定納税が見合っているか確認してみてください。

給与が上がったり、源泉徴収の対象とならない投資収入、個人事業収入、賃貸収入があった場合は前年度より税金が上がる傾向があるため注意が必要です。予定納税の支払いが遅れたり、怠った場合は罰金が課せられる可能性があるため、事前に予定納税額の計算をしておくことが重要となります。

また予定納税をすることで、確定申告時の納税負担を減らしたり、税金の滞納を防ぐメリットがあります。確定申告直前で源泉徴収額と予定納税額が不足しているという事態に陥らないようオフシーズンの間にしっかり準備しておきましょう。

源泉徴収額と予定納税の算出についてご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

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