知っていて損はない!アメリカの連邦破産法とは
債務を返済することができなくなった個人や企業が、破産手続を行うことで債務を免除するか、財産を金銭に換えて債務を支払うか、または今後の債務返済計画を建てて債務整理を行います。通常、破産手続は、債務者が破産裁判所に請願書を提出した時に始まります。 請願書は個人、配偶者、企業、またはその他団体によって提出されます。破産法は財政的に困窮している個人、企業を保護します。
すべての破産手続は、連邦破産法の規則に基づいて連邦裁判所で処理されます。破産にはさまざまな種類があり、アメリカでは、連邦破産法第7章(Chapter 7)、第11章(Chapter 11)、および第13章(Chapter 13)の3つの主要な章があります。
連邦破産法第7章(Chapter 7)
連邦破産法第7章は、債務返済計画を通じて毎月の定期的な返済が困難な方が利用できます。また事業を終了することを選択した企業も、第7章を申請することができます。クレジットカード、医療費、個人ローンなどの一般的な無担保債務のほとんどを一掃する清算破産方法です。 ただし、学生ローン、離婚慰謝料、養育費などは免除されません。第7章は個人、法人、パートナーシップが申請可能となります。
第7章では、破産管財人を任命し、清算できる財産を選別して、債務者へ支払います。 その収益が使い果たされた後、残りの債務は免除されます。
債務を担保付債務、無担保債務に分け、優先的に支払う順序を決定します。 無担保債務の中で一番優先の債務から最初に支払われます。 無担保債務の優先債務の例としては、滞納税金、養育費、人身傷害の支払いなどがあります。 次に担保付債務が支払われます。 最後に、まだ財産が残っている場合は、一番優先ではない債務に割り当てられます。
破産管財人は、債務者の個人財産と財政状況を審査し、 返済のために換金化できる財産とできない財産に分けます。基本的な生活水準を維持するために必要な財産は債務者によって保持されます。
次の項目は、一般的に返済のために換金化できる財産とみなされ、債権者への返済に使用されます。
- 住宅として使用していない家、またはその他の住宅用不動産
- 資産としての新しいモデルの車
- 職業に必要のない高価な楽器
- 貴重な切手やコインのコレクション
- 退職金口座に含まれていない投資資産
- 貴重な絵画
- 高価な服やジュエリー
基本的な生活水準を維持するために必要な財産には、次のものがあります。
- 必要最低限の移動のための車
- 生活家具や日常着
- 職業に必要なツール
- 退職金口座
連邦破産法第7章が完了すると、債務の免除を受けることができます。 免責可能な債務は免除され、 一部の税金についても免除される場合があります。 ただし、連邦税の負債が免除されるかどうかは、それぞれのケースの状況によって異なります。 破産専門弁護士に相談して、どの税金の債務が免除されるか確認する必要があります。
連邦破産法第11章(Chapter 11)
連邦破産法第11章は、主に法人、パートーナーシップ専用であり、個人向けではありません。事業を継続したいが、債務を支払うために財政を再構築する時間が必要な企業または団体向けです。企業に債務返済の再編を促し、事業を続ける機会を与えます。個人も申請できますが、第7章と第13章に基づいて破産を申請する方が通常は迅速かつ安価であるため、めったに利用することはありません。
再編成とは、問題のある事業を収益性の高い状態に戻すことを目的とした重大な改革です。 これには部門の閉鎖、または売却、経営陣の交代、予算の削減、労働者の解雇が含まれる場合があります。裁判所の監督下にある企業には収益性の高い状態に戻し、債務を返済できるようにすることを目的としたのが第11章の焦点です。
連邦破産法第13章(Chapter 13)
連邦破産法第13章は裁判所の監督下にある債務者が、これまでの財政を見直し、債務返済計画を建て定期的に債務の支払いを行なっていくことを意味しています。賃金所得者、個人および夫婦の自営業者、または法人化されていない個人事業主が第13章を申請する資格があります。
定期的な収入のある個人は、債務の全て、または一部を返済する計画を建てることができます。債務者は、3年から5年にわたって債権者に分割で債務を支払うための返済計画を提出しなければいけません。
通常、第13章は次のような債務者を対象としています。
- 第7章の申請条件を満たしていないが、債務救済が必要な個人(例:クレジットカードの支払いを減らす、訴訟を停止する、または賃金の保証を防ぐため)
- 慰謝料や養育費の滞納など、3年から5年で返済したい未払いの債務がある
- 家や車の支払いを滞納しているが、支払いを完済し財産を維持したいと考えている
第13章破産申請中の納税義務:
- 納税者は、破産申請から4年以内に終了する、必要なすべての確定申告書を提出しなければなりません。
- 破産中、納税者は必要な確定申告書を提出し続けるか、提出期限を延長する必要があります。
- 破産中、納税者は現在のすべての税金を期限通りに支払う必要があります。
- 破産中に確定申告書を提出し、税金を支払うことができない場合、破産申請が却下されたり、第7章の清算破産に変更されたりする可能性があります。
第7章と同様に、連邦破産法第13章が完了すると、債務の免除を受けることができます。 免責可能な債務は免除され、 一部の税金についても免除される場合があります。 ただし、連邦税の負債が免除されるかどうかは、それぞれのケースの状況によって異なります。 破産専門弁護士に相談して、どの税金の債務が免除されるか確認する必要があります。
まとめ
アメリカでは、連邦破産法第7章(Chapter 7)、第11章(Chapter 11)、および第13章(Chapter 13)の3つの主要な章があります。それぞれの章には特徴があり、破産申請する目的や、破産する者が個人や企業よって異なります。破産申請に関しては破産専門の弁護士に相談することが一つの解決方法です。
また税金を滞納していて破産を考えている場合、破産申請することが一番の解決方法ではありません。税金滞納者は場合によって、IRSと交渉することで税金返済計画を建てることができます。さらに分割払いで滞納している税金を完済できない場合は、代わりにIRSの「offer in compromise(妥協案)」プログラムを利用できる場合があります。これは経済的困難などの理由で滞納している税金を支払うことができない場合、満額より少ない額を支払うことができます。そしてIRSは残りの残高を免除します。
税金の滞納にお困りの場合は、当事務所に是非相談してください。
お気軽にお問い合わせください。080-2557-2592日本時間 9:00-18:00 [ 土日・祝日除く ] 米国電話番号 +1-310-697-2664 東海岸時間9:00-18:00 [ 土日・祝日除く ]
お問い合わせ