Traditional IRAとRoth IRAの違いは?

IRA(Individual Retirement Account、個人年金口座)は、個人が長期的に貯蓄と投資を行うために使用できる税制上の優遇措置を備えた貯蓄口座です。IRAには、一般的にTraditional、 Roth、SEP、SIMPLEの4つのタイプがあり、全てが拠出額に対して税制上の優遇措置を提供しています。さらに、口座の運用益は非課税となります。

その中でも最も一般的なIRA口座に、Traditional IRAとRoth IRAがあります。あなたが個人年金口座を開設する際は2つのタイプから選択する可能性がとても高いです。

最大の違いは、Traditional IRAは課税年度に拠出した金額は所得税控除の対象となりますが、59½歳以降に引き出した際はその時の所得税率で課税されます。Roth IRAの場合、拠出した金額は所得控除の対象にはなりませんが、59½歳以降に引き出した際は非課税、違約金なしで引き出しを行うことができます。

2つの違いについてしっかり理解し、あなたにとってどちらのタイプが合っているか見極めていきましょう。

Traditional IRAとRoth IRAの比較

Traditional IRAとRoth IRAは退職後の老後資金を貯蓄するという点で目的は似ていますが、いくつか類似点と相違点があります。


TraditionalRoth
加入資格課税対象の勤労所得がある。何歳でも可。2020年1月1日より以前は、70½歳以上の場合は拠出できませんでした。課税対象の勤労所得がある。何歳でも可。
拠出額の所得控除ありなし
拠出控除限度額2024年、年間個人拠出額は最大7,000ドル。50歳以上の場合、年間で最大8,000ドル。(所得により拠出制限の変動あり、下記参照)2024年、年間個人拠出額は最大7,000ドル。50歳以上の場合、年間で最大8,000ドル。(所得により拠出制限の変動あり、下記参照)    
拠出締切日課税年度の翌年4月15日課税年度の翌年4月15日
受給開始時引き出した拠出金と収益は課税対象。      59 ½歳未満の場合は、例外を除いて、早期引き出しに対して追加で10%の税金を支払わなければならない場合がある。収益は、最初の拠出から 5 年が経過していれば、非課税および違約金なしで引き出すことができる。                    59 ½歳未満の場合は、例外を除いて、早期引き出しに対して追加で10%の税金を支払わなければならない場合がある。
最低受給金額72歳になる年の翌年4月1日までに、規定額の受給開始。それ以降の年は毎年12月31日まで。なし

Traditional IRA拠出限度額

職場で退職金制度(401(k)など)に加入している場合は、あなたの修正調整総所得 (MAGI、Modified Adjusted Gross Income) によって、Traditional IRAへ控除できる額(限度額の全額または一部)が変わります。雇用主が退職金制度を提供していない場合は、限度額の全額を拠出することができます。

修正調整総所得とは、総所得から調整総所得(AGI)を計算した後、差し引かれた特定の控除額を再び所得に戻した値を表します。この記事では計算方法については割愛しますが、簡単に言うとあなたの所得になります。

職場で退職金制度があり、収入が87,000ドル(独身者)、143,000ドル(夫婦合算)を超える場合、Traditional IRAの拠出金には所得控除が適用されません。しかし、このような状況でもTraditional IRAに引き続き拠出することができ、収益は同じく非課税で増加していきます。
所得制限により控除できなかったTraditional IRAへの拠出金は、「控除対象外の拠出」となり、Form8606を使用してIRSへ報告します。 Form 8606は、IRAの金額の一部がすでに課税されていることを「記録に残す」ものです。 後で分配金を受け取ったときに、戻ってきたお金の一部は所得税の対象とはなりません。

Roth IRA拠出限度額

Roth IRAは職場での退職金制度の加入の有無に関係なく、あなたの修正調整総所得によって拠出できる額が変動します。

あなたの所得が一定額を超える場合は、Roth IRAへの拠出は禁止されています。 高所得者がRoth IRAへ拠出する唯一の方法は、Backdoor Roth IRAと言われる方法を使用することです。これは、Traditional IRAに拠出した後、Roth IRAへその拠出金を移動します。 現在この回避策は承認されていますが、Traditional IRAから拠出金を引き出した際は税金を支払う必要があります。

Traditional IRAとRoth IRAのメリットデメリット

Traditional IRAとRoth IRAの主な違いは下記になります。

  • 所得控除: Traditional IRAは、課税所得から拠出金を差し引くことができます。ただし、Traditional IRAには所得制限があり、控除できる金額に影響を与える可能性があります。 Roth IRAへの拠出は控除の対象となりません。
  • 退職後の引出し: Roth IRAは拠出した際にすでに課税されているため、退職後引き出した金額には課税されません。 Traditional IRAへの拠出金は課税されませんが、退職後引き出した金額は所得として課税されます。Roth IRAへの拠出額は税引き後で行われるため、あなたが拠出した額 (投資の収益の部分ではありません) は、いつでも、どの年齢でも、ペナルティや税金なしで引き出すことができます。
  • 最低受給金額: Traditional IRAは、72 歳になると口座の資産残高と平均余命に基づいて計算された給付額を受け取る必要があります。怠った場合はその給付額の50%に相当する税金ペナルティが発生する可能性があります。Roth IRAには、このルールはありません。

未来を確実に予測することは不可能ですが、Traditional IRAとRoth IRAのどちらかを決めるポイントは、退職後にIRAから引き出す際のあなたの所得税率によります。もし退職後IRAの受給額に加え、その他の所得がある場合、より高い税率が適用される可能性があります。その際はRoth IRAの方が適していると言えます。

一方、就労してIRAへ拠出している期間の所得税率が高く、退職後は所得税率が低いと予想される場合はTraditional IRAの方が経済的に理にかなっている可能性があります。

また、条件を満たしている限り、Traditional IRAとRoth IRAの両方の口座を持つことも可能です。 両方を活用して、現在と将来のバランスをとることも一つの運用方法です。

まとめ

個人年金口座を開設する際は最も知名度が高いTraditional IRAとRoth IRAの違いを理解することがとても大切です。現在のあなたの所得と将来予想される所得を比べ、どちらがあなたに合っているか検討してみてください。

繰り返しになりますが、最大の違いは、Traditional IRAは課税年度に拠出した金額は所得税控除の対象となりますが、59½歳以降に引き出した際はその時の所得税率で課税されます。Roth IRAの場合、拠出した金額は所得控除の対象にはなりませんが、59½歳以降に引き出した際は非課税、違約金なしで引き出しを行うことができます。

どちらも税制優遇措置を受けながら長期的に貯蓄と投資をすることができますので、早い時期に始めるに越したことはありません。資金に余裕がある場合は、IRA口座開設時にこの記事を参考にして頂ければ幸いです。ご質問あれがいつでもお気軽にお問い合わせください。

お気軽にお問い合わせください。080-2557-2592日本時間 9:00-18:00 [ 土日・祝日除く ]        米国電話番号 +1-310-697-2664           東海岸時間9:00-18:00 [ 土日・祝日除く ]

お問い合わせ

Traditional IRAとRoth IRAの違いは?” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です