IRAの節税メリット

IRA(Individual Retirement Account、個人年金口座)は、個人が長期的に貯蓄と投資を行うために使用できる税制上の優遇措置を備えた貯蓄口座です。IRAには、一般的にTraditional、 Roth、SEP、SIMPLEの4つのタイプがあり、全てが拠出額に対して税制上の優遇措置を提供しています。さらに、口座の運用益は非課税となります。

勤労所得がある人は誰でもIRAの口座を開設することができ、銀行、証券会社、オンラインブローカー、または個人ブローカーを通じて開設することができます。IRAを開設すると、株式、債券、上場投資信託 (ETF)、投資信託など、幅広い金融商品へ投資をすることできます。

IRAと401(k)企業型確定拠出年金)の仕組みはよく似ていますが、401(k)は、雇用者を通じてのみ取得できる従業員福利厚生制度のうちの1つとなります。

日本では私的年金制度の一環として平成14年1月よりiDeCo(個人型確定拠出年金)がスタートしました。IRAの制度はiDeCoとほぼ同じ制度となります。

Traditional IRA

Traditional IRAの最大の節税メリットは、課税年度に拠出した金額は所得控除の対象となります。 つまり、Traditional IRAに年間7,000ドルを拠出したとすると、その年の課税所得はその拠出した金額(7,000ドル)だけ減少します。ただし、給付を受け取る際は通常の所得税率で課税されます。

年間拠出制限

  • 2023年、年間個人拠出額は最大6,500ドル。あなたが50歳以上の場合、年間で最大7,500ドル。
  • 2024年、年間個人拠出額は最大7,000ドル。あなたが50歳以上の場合、年間で最大8,000ドル。

限度額を超えて拠出した場合はペナルティが発生しますが、超過分をその年度の確定申告日までに引き落とせばペナルティを避けることができます。年間拠出限度額はインフレーションの関係で毎年上がっています。

例えば、アメリカに住む夫婦で、夫が働き年収 100,000 ドルを稼いでいて、妻が働いていないとします。 彼は自分自身の従来の IRA に最大で拠出できますが、妻の IRA にも最大で拠出できます。夫婦合算申請が条件です。 2024年は1人7000ドル、2人で最大14,000ドルまで拠出することができます。

口座保有者は59½歳から給付金の引出しを開始することができます。特定の理由がない限り、早期引出し額には10%のペナルティが課せられますので注意が必要です。さらに、72歳からは口座の資産残高と平均余命に基づいて計算された給付額を受け取る必要があります。怠った場合はその給付額の50%に相当する税金ペナルティが発生する可能性があります。

Roth IRA

Roth IRAは1997年に初めて導入され、元デラウェア州上院議員William Roth氏にちなんで名付けられました。Roth IRAの場合、拠出額は所得控除の対象にはなりません。しかし、Roth IRAの最大のメリットは受給額が非課税となることです。 つまり、所得税を負担することなく口座から引き出すことができます。

年間拠出制限(Traditional IRAと同じ)

  • 2023年、年間個人拠出額は最大6,500ドル。あなたが50歳以上の場合、年間で最大7,500ドル。
  • 2024年、年間個人拠出額は最大7,000ドル。あなたが50歳以上の場合、年間で最大8,000ドル。

口座保有者は59½歳から給付金の引出しを開始することができます。非課税、ペナルティなしで給付金を引き出すには59½歳前に最低5年間口座を保有している必要があります。また特定の理由がない限り、早期引出し額には10%のペナルティが課せられますので注意が必要です。しかし、Traditonal IRAは72歳から必ず規定の給付金額を受け取らなければいけませんが、Roth IRAにはそのようなルールはありません。

さらに、Roth IRAへの拠出額は税引き後で行われるため、あなたが拠出した額 (投資の収益の部分ではありません) は、いつでも、どの年齢でも、ペナルティや税金なしで引き出すことができます。

SEP IRA

一般的にSEP(Simplified Employee Pension) IRAは、従業員が少ない中小企業のオーナー、または全くいない自営業者向けのIRAです。 従来のIRAと同様に、拠出金は所得控除の対象となります。 ただし、給付を受け取る際は通常の所得税率で課税されます。

年間拠出制限(SEP IRAには50歳以上のキャッチアップ拠出はありません。)

雇用主は、SEPに加入している各従業員へ毎年拠出し、所得控除することが許可されています。

  • 2023年、各従業員の報酬(最大330,000ドル)の25%、または66,000ドルのいずれか少ない方。
  • 2024年、各従業員の報酬(最大345,000ドル)の25%、または69,000ドルのいずれか少ない方。

従業員のためにSEP IRAを開設した事業オーナーは、従業員に代わって支払った拠出金を所得控除することができます。 ただし、従業員は自分のSEP IRA口座に拠出することは許可されておらず、受け取った給付金は課税対象となります。Traditonal IRAと同様に72歳からは口座の資産残高と平均余命に基づいて計算された給付額を受け取る必要があります。

自営業者の場合は、2023年は事業純利益の20%、または66,000ドルのいずれか少ない方を拠出することができます。(事業の純利益からself-employment taxを差し引いた後)

自営業の起業家がTraditional IRAよりも SEP IRAを気に入っているのは、年間ベースでより多くの拠出ができるからです。

SIMPLE IRA

SIMPLE IRA(Savings Incentive Match Plan for Employees Individual Retirement Accounts)は、従業員が100人以下の中小企業オーナー、自営業者向けです。 Traditional IRAと同様に、拠出金は所得控除の対象となります。

年間拠出制限

雇用主の拠出制限額(雇用主は従業員の口座へ拠出することが定められています。毎年、以下の拠出方法のいずれかを選択する必要があります)

  • オプション1: 各従業員の報酬(制限なし)の最大3%
  • オプション2: 各従業員の報酬(最大2023年が330,000ドル、2024年が345,000ドル)の最大2%

従業員の拠出制限額

  • 2023年、年間個人拠出額は最大15,500ドル。あなたが50歳以上の場合、年間で最大19,000ドル。
  • 2024年、年間個人拠出額は最大16,000ドル。あなたが50歳以上の場合、年間で最大19,500ドル。

一般的に雇用主にとってSIMPLE IRAは、401(k)口座を開設するよりも初期費用と運用費用を抑えることができます。また雇用主は、従業員のSIMPLE IRAの口座への拠出に対して所得控除することができます。しかし、あなたが個人事業主または自営業者で、自身の個人年金口座を最大限に活用したい場合、拠出限度額がより高いSEP IRAをお勧めします。

雇用主は従業員のSIMPLE IRAの口座へ拠出する必要がありますので、従業員にとってメリットになります。しかし、一部の雇用主はそのルールは雇用主の負担になると考える場合があります。

ペナルティ

一般的に、59½歳より以前にIRA口座から早期引き出しをした場合は、引出した金額は総所得に加えて(所得税課税対象)、さらに追加で引出した金額の10%のペナルティが課せられます。 

ただし、下記の事項については早期引出しのペナルティの対象とはなりません。

  • IRA口座保有者の死亡により、IRA口座を相続して早期引出しした場合
  • 障害者になった場合
  • 「初めて」住宅を購入する場合(10,000ドルまで)。 結婚している場合、配偶者はさらに10,000ドル引き出すことが可能
  • 特定の大学費用
  • 失業中に医療保険費を支払った場合
  • 健康保険に加入していない、または保険でカバーされない自己負担の医療費がある場合。調整後の総収入(Adjusted Gross Income (AGI))の10%を超える医療費にはペナルティが課せられません。
  • IRAから数年間定期的に引き出しを行う必要がある場合。特定の要件を満たしていればペナルティなしで引き出しを行うことができます。
  • 未払いの連邦税がある場合。IRSはIRAを利用して税金を支払うことができます。
  • Reserve(予備役部隊)が現役軍務に就いた場合

Tax Tip

401(k)は、初めての住宅購入者でも早期引出しには違約金が発生します。それでも住宅購入の頭金が必要な場合は、10%の違約金を覚悟するか、自身の401(k)口座からローンをするオプションがあります。

まとめ

理想的な老後プランを実現するためには、よく「三本足の椅子(三脚椅子)」が必要だと言われています。この3本の足は退職後の最も一般的な 3 つの収入源、【ソーシャルーセキュリティー(社会保障給付)、確定給付企業年金(Defined-Benefit Plan)、個人年金】、を表して例えています。近年は確定給付企業年金は、企業型確定拠出年金へ(Defined-Contribution Plan、401(k)など)置き換わっていっています。さらに今後、私たちの寿命が延びることにより、老後資金を支える足が4、5本になるかもしれません。

その中でもIRAは私たちの老後生活にとって重要な役割を担っています。理由は単純に老後資金を蓄えるだけではなく節税のメリットも備えているからです。

Traditional、SEP、SIMPLEの3つは拠出金に対して所得控除することができます。反対にRothは、給付金に対して非課税で受け取ることができます。一般的にはTraditional、Rothが広く利用されていますが、自営業者にとってはSEPが有効的と言えます。それぞれの違いを理解した上で、あなたにとって適切なプランを立てることが大切です。

さらに、59½歳より以前にIRA口座から引き出すとペナルティが課せられますので注意が必要です。しかし、条件を満たせば違約金なしで引き出すことができますので、緊急事態が起きた際はあなたのIRA口座を上手く活用して頂くことをお勧め致します。

IRA口座は複数の種類があり、それぞれ規則が異なりますので複雑に感じるかもしれません。
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