【2025年最新】アメリカ確定申告の所得控除ガイド|基礎控除と項目別控除の選択基準を徹底解説

アメリカの確定申告(タックスリターン)で、手元に残るお金を最大化するために最も重要なのが「所得控除(Deductions)」の理解です。
2025年度はインフレの影響を受け、控除額が前年よりも引き上げられています。本記事では、米国税務のプロが「基礎控除」と「項目別控除」のどちらを選ぶべきか、最新の数字をもとに分かりやすく解説します。
所得控除とは?税金を減らす仕組み

所得控除とは、総所得から一定の金額を差し引くことで、税金の対象となる所得(課税所得)を小さくする仕組みです。控除額が大きければ大きいほど、最終的な納税額は減り、還付金(リファンド)は増えます。
- 先ずは課税年度にあなたが得た総所得を計算します。
- 総所得から所得控除(Tax Deduction)できる金額を差し引くことで、課税所得額(Taxable Income)を算出します。
- アメリカの所得税は、10% から 37% の範囲の税率に基づいて計算されます。 課税所得に税率を掛けて税額を算出します。(*税率の詳細については下記参照。)
- 算出した税額から規定の税額控除(Tax Credit)を差し引き、最終所得税額(Net Tax)を決定します。

連邦所得税率の計算方法
アメリカには累進課税制度があります。 これは、所得水準が高いほど税率が高くなることを意味します。 「限界税率」と呼ばれ、総所得には適用されず、特定の範囲内の所得にのみ適用されることを意味します。これらの範囲をブラケットと呼びます。タックスブラケットはIRSによって年々アップデートされています。
特定の区分に含まれる所得は、その区分の税率で課税されます。 以下の表は、連邦所得税の税額区分を示しており、2026年初頭に支払われる税である 2025年課税年度の税率を反映しています。例として独身者と夫婦合算申請の場合の税率を記載しますが、その他夫婦別申請や世帯主申請の税率が別途あります。申告ステータスによって税額区分が変更します
| 独身者 | 2025年度 |
|---|---|
| 課税所得 | 税率 |
| $0 - $11,925 | 10% |
| $11,926 - $48,475 | 12% |
| $48,476 - $103,350 | 22% |
| $103,351 - $197,300 | 24% |
| $197,301 - $250,525 | 32% |
| $250,521 - $626,350 | 35% |
| $626,351 or more | 37% |
| 夫婦合算 | 2025年度 |
|---|---|
| 課税所得 | 税率 |
| $0 - $23,850 | 10% |
| $23,851 - $96,950 | 12% |
| $96,951 - $206,700 | 22% |
| $206,701 - $394,600 | 24% |
| $394,601 - $501,050 | 32% |
| $501,051 - $751,600 | 35% |
| $751,601 or more | 37% |
上の表の税率に基づくと、収入が 50,000 ドルの独身申告者の最高限界税率は 22% になります。 ただし、その納税者は 50,000 ドルすべてに対してその税率を使用して税金を支払うことはありません。 課税所得の最初の 11,925ドルの税率は 10% で、次の 36,550ドル(48,475 -11,925)は 12%、3 番目のブラケットに属する最後の 1,525 ドル(50,000-48,475)は 22% になります。 これは、限界税率がその特定の範囲内にある所得にのみ適用されるためです。 これらの税率に基づくと、 50,000 ドルの収入があった独身申告者は 5,914ドルの税額が発生することになります。これは約 11.8% の平均税率を意味します。
| 課税所得 | 税率 | 税額 |
| 11,925 | 10% | 1,192.50 |
| 36,550 | 12% | 4,386 |
| 1,525 | 22% | 335.50 |
| $50,000 | 平均税率約11.8% | $5,914 |
Adjusted Gross Income(AGI)とは

Adjusted Gross Income(AGI)とは、日本語で調整総所得と呼び、連邦所得税算出のための非常に重要な『基礎となる所得』を意味します。課税年度に対するあなたの総所得が決まった後、特定の調整可能な控除費用を差し引き、AGIを算出します。2025年課税年度の AGI は、IRS フォーム 1040 の 1 ページ、11 行目に記載されています。
AGI を計算するために総所得から差し引かれる項目は、申告書のスケジュール 1 で報告します。下記に最も一般的な調整可能な控除項目を記載します。
- 最大2,500ドルまでの学生ローンの利息
- 個人年金口座(IRA)、401(k)プラン、またはその他認定されているリタイアメントプランへの拠出額(年間限度額まで)
- リタイアメントプランの早期引き出しペナルティー
- 年間限度額までのHealth Savings Account (医療用貯蓄口座)への拠出額
- 教育者費用(Educator expenses)
- 軍隊員の引っ越し費用
- 自営業者の健康保険料
- Self-Employment Tax(雇用者分 7.65%)
- 2018年12月31日以前に最終決定された離婚による離婚扶養料
- 陪審義務による支払い
見落とし厳禁! Standard Deduction と Itemized Deductionsの違い

Adjusted Gross Incomeを計算後、課税所得を決定するために、Standard Deduction、またはItemized Deductionのどちらか選択します。その年にStandard DeductionとItemized Deductionsの両方を控除することはできません。
- Standard Deduction(基礎控除): 申告状況に基づいて IRS によって決定される定額の控除額になります。 基礎控除は、領収書の提出なしに、申告ステータスに応じて一律で差し引ける控除です。多くの日本人駐在員や個人申告者がこちらを利用します。2025年度の独身者は15,750ドル、夫婦は31,500ドル、所得から控除できます。
| 2025年度 (2026年申告) | 2026年度 (2027年申告) | |
|---|---|---|
| Filing Status | Standard Deduction Amount | Standard Deduction Amount |
| Single | $15,750 | $16,100 |
| Married, Filing Jointly | $31,500 | $32,200 |
| Married, Filing Separately | $15,750 | $16,100 |
| Head of Household | $23,625 | $24,150 |
ポイント: 2025年度は夫婦合算申告の場合、ついに3万ドルの大台に乗りました。これ以上の「控除対象となる支出」がない限り、基礎控除を選ぶのが最も有利です。
Form 1040NRを申請する米国非居住者は、Standard Deductionを選択することができません。代わりにItemized Deductionsを使用して申請することになります。
- Itemized Deductions(項目別控除): 実際に費やした医療費、州税、地方税、住宅ローンの利子、寄付控除など、特定の控除可能な費用に対しての金額になります。 各費用をスケジュール A に記載し、確定申告書に添付する必要があります。
特定の支出の合計が、上記の「基礎控除額」を超える場合は、項目別控除(スケジュールA)を選択した方が得になります。それぞれの費用項目は無制限に控除できるわけではなく、控除できる額に限度がありますので注意が必要です。
項目別控除の主な対象費用:
- 医療費:多額の自己負担の医療費と歯科費(AGIの7.5%を超過した額)
- 住宅ローン利息:自宅の購入にかかるローンの利息(750,000ドル以下)
- 災害損失:連邦認定の大規模な災害(火災、洪水、台風)、または盗難による損失
- 慈善団体への寄付:公認団体への現金や物品の寄付
- 州税および地方税 (SALT):所得税または売上税、と固定資産税
どっちが得?判断のシミュレーション

2025年度は、基礎控除額も引き上げられましたが、それ以上にSALT上限の4倍増($40,000)のインパクトが絶大です。以下の判定基準で、どちらが有利か確認しましょう。
2025年度の判定ライン(夫婦合算申告の場合) 控除対象の支出合計が $31,500 を超えるなら「項目別控除」がお得!
【ケースA】賃貸住まいの共働き夫婦(所得20万ドル)
- 支出の内訳:
- 州所得税:$15,000
- 固定資産税:$0
- 寄付金:$2,000
- SALT控除額: $15,000(新上限$40,000の範囲内)
- 控除合計:$17,000
- 【判定】基礎控除($31,500)を選択
- 解説: SALT上限が上がっても、住宅ローン利息などの大きな支出がない場合は、依然として「基礎控除」の方が$14,500も多く控除でき、有利です。
【ケースB】高税率州(CA/NY等)でマイホーム所有の夫婦
- 支出の内訳:
- 州所得税:$25,000
- 固定資産税:$12,000
- 住宅ローン利息:$18,000
- 寄付金:$3,000
- SALT控除額: $37,000(新上限$40,000をフル活用!)
- 控除合計:$58,000
- 【判定】項目別控除($58,000)を選択
- 解説:旧ルール(上限1万ドル)では基礎控除が有利でしたが、新ルールでは立場が逆転します。 基礎控除より$26,500も多く所得を圧縮でき、所得税率24%と仮定すると、これだけで約$6,360の節税になります。
【ケースC】高所得者の場合の注意点(所得60万ドル以上)
支出の内訳: SALT合計 $40,000 以上の支払額がある
【判定】基礎控除($31,500)が有利になる可能性大
- 解説: 2025年改正では、MAGI(調整後総所得)が50万ドルを超えると、SALTの4万ドル枠が段階的に削られます。所得が60万ドルに達すると、上限は以前と同じ1万ドルまで戻ってしまいます。
- この場合、他の項目別控除(寄付など)がよほど多くない限り、基礎控除を選んだ方が節税になる逆転現象が起こります。
まとめ
2025年度は控除額がアップしたため、これまで項目別控除を使っていた方も、基礎控除の方が有利になる可能性があります。
あなたが稼いだ所得から税額を計算するまでのプロセスをしっかり理解することがとても大切です。このプロセスはAdjusted Gross Incomeの算出、Standard DeductionとItemized Deductionsの選択、連邦税率の計算と順に行なっていきます。
所得から最大限に控除するために所得控除の種類をできる限り覚えておくことが重要です。例えば、個人年金口座(IRA)、401K、Health Savings Account (医療用貯蓄口座)は、拠出額に対して税制上の優遇措置を提供しています。さらに、口座の運用益は非課税となります。また、所得控除のルールは政権交代や税制が改正される度に変更しますので注意が必要です。
ルールを守り、控除可能な支払いの申告漏れがないよう、この記事を活用していただけたら幸いです。
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