アメリカの贈与税はいくらから?

アメリカの贈与税(Gift Tax)とは、見返りとして何も受け取らないことを前提とし、金銭や財産を個人へ贈与した際に発生する連邦税です。一般的に日本では贈与として財産を受け取った個人が贈与税を負担します。しかし、アメリカでは贈与として財産を贈る個人が贈与税を負担します。贈与税の対象者は、アメリカ市民、永住者、居住者となります。(別途、非居住者用の贈与ルールがあります。)

実際に贈与税が発生するケースはごく僅かでしょう。しかし、一定額を越えた贈与に対してはForm 709を申請する必要があります。

アメリカ贈与税の概要

原則として、個人が贈与する財産は課税対象となります。 ただし、この規則には多くの例外があります。

通常、以下の項目は贈与税の対象ではありません。

・課税年度の年間免税額を超えない贈与
・授業料または医療費
・配偶者への贈与(※アメリカ市民の場合
・政治団体への贈与

加えて、対象となる慈善団体への贈与は、所得控除の対象となります。

年間免税額

年間免税額は、個人が贈与する財産に適用されます。

2024年の場合、年間の免税額は18,000ドルです。2022年は16,000ドル、2023年は17,000ドルです。

これらの免税額は、贈与を受け取る個人ひとりひとりに適用され、限度を超えるまで複数回に渡って贈与することができます。

夫婦共同で所有する財産を贈与する場合は、2024年は36,000ドルまで免税されます。

アメリカ市民の配偶者への贈与には限度額はなく全て非課税扱いとなります。しかし、アメリカ市民ではない配偶者への贈与については、年間免除額が2023年は175,000ドル、2024年は185,000ドルと制限があります。(その他の個人への年間免除額は18,000ドル)

Form 709 とは(贈与税申告書)

1年間に1人につき18,000ドルを超える財産を贈与した場合は、Form 709 を提出する必要があります。申告期限は個人確定申告日を同じく毎年4月15日となります。

Form 709 は、その年に贈与を行ったという情報を開示するためにIRSへ提出します。フォームを提出することによって贈与税が発生するということではありません。

年間の贈与免税額は各年で決まっていますが、個人が生涯に渡って贈与できる免税額の合計も決まっています。 インフレーションに合わせて毎年調整すると、2023年は1292万ドル、2024年は1361万ドルとなります。そのため、贈与税が課税される前に、贈与する個人は生涯に渡って1361万ドルまで非課税で贈与することができます。

1361万ドルという生涯免税額は、連邦遺産税の控除額と同じ額になります。つまり、故人の遺産(死亡時)と生涯に渡って贈与する金額の合計が1361万ドルを超えなければ連邦遺産税と贈与税が課税されないということになります。

Form 709で申請した18,000ドルの免税額以上の超過贈与額分は生涯に渡って加算されていき、生涯免税額の1361万ドルを越えた場合は18〜40%の贈与税(連邦遺産税と同じ税率)が課税されます。

例えば、2024年にあなたが兄弟に60,000ドルを贈与した場合、年間18,000ドルの免税額が使い果たされます。 免税額を超えたのでForm 709を申請する必要がありますが、贈与税を支払う必要はありません。 理由は、 免税額を超えた42,000ドル(60,000ドル − 18,000ドル)は、生涯免除額である1361万ドルに単純に加算されるためです。 来年、あなたの兄弟にさらに60,000ドルを贈与した場合は同じことが起こります。加算された超過贈与額は1361万ドルを超えるまで非課税扱いとなります。

アメリカ非居住者が贈与した場合は、その贈与がアメリカ国内で所有している資産でない限り、贈与税は適用されません。法的な観点から、その贈与は「米国内」の資産ではありません。しかし、アメリカ非居住者からの贈与がアメリカ国内で所有している資産の場合(家、車、株式、債券など)は贈与税の対象となります。非居住者の場合、アメリカで所有していた資産を贈与した額が6万ドル(基礎控除額)を超えた場合は課税されます。ただし、日米相続税条約により非居住者枠の基礎控除額が増加する傾向がありますので、多額の資産を無償提供しない限り全額控除できる可能性が高いです。

まとめ

日本と違いアメリカの贈与税は贈与する個人に税金を支払う義務があります。しかし、全ての贈与が課税対象となるわけではありませんし、規定の控除額も適用されます。贈与をする前にこれらのポイントをしっかり押さえておくことが重要です。

さらにアメリカの連邦遺産税と贈与税は互いに深く関連しているため両方の仕組みを理解しておくが大切です。

多額の贈与を行う前に一度税務の専門家に相談することをお勧めします。

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